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ドルトムント、シャルケ取材で見た「レジェンド」の影

ドルトムント・香川、シャルケ04内田。取材でみえたもの

内田篤人の気持ちの強さが見えたシーン

 ドルトムントの隣町であるゲルゼンキルヘンをホームタウンに持つシャルケ04。このふたつのライバル関係はドイツ国内に留まらず有名だ。ここ数年、成績面ではドルトムントに及ばないシャルケは、3月9日メンヘン・グラッドバッハをホームに迎えたヨーロッパカップを戦った。本来、使用はもちろん、持ち込みさえ許されない発煙筒がたかれるなか始まった試合は、先制点を決めたメングラが固めた守備を崩せず、シャルケはホームでありながら1-1という結果で終わった。

 翌日、スタジアムの敷地内に天然芝のピッチを数面持つシャルケの練習場に、懐かしい顏を見つけた。長期リハビリ中の内田篤人は、試合に出なかった選手たちとともに練習をスタートさせるも、アップが終わると、別メニューが命じられた。昨年12月に途中出場で試合復帰をしたものの、まだ万全というわけではない。故障個所が癒えたとしても、別のどこかに不具合が起きてしまう。それは当然の過程ではあり、指揮官は無理をさせたくはないのだろう。
 しかし、別メニューの指示に納得がいかない内田とコーチが話し込んでいる。きっと「無理をするな。焦るな」とコーチは言っているのだろう。しかし、そんなコーチの言葉を素直に受け入れる様子には見えなかった。“無理”を避け続けていては乗り越えられない壁がある。負荷をかけなければ、負荷に耐えられる身体にはならない。どのようなタイミングでどれだけの負荷をかけていくのか、繊細な判断が必要なのは長くリハビリをしてきた内田も十分すぎるほど理解しているはずだ。
 そして、「焦りは禁物」という鉄則も。けれど、焦るというのは、向上したいという想いでもある。
「俺には時間がないからね。細く長くなんて思ってないよ」

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寺野 典子

てらの のりこ

1965年兵庫県生まれ。ライター・編集者。音楽誌や一般誌などで仕事をしたのち、92年からJリーグ、日本代表を取材。「Number」「サッカーダイジェスト」など多くの雑誌に寄稿する。著作「未来は僕らの手のなか」「未完成 ジュビロ磐田の戦い」「楽しむことは楽じゃない」ほか。日本を代表するサッカー選手たち(中村俊輔、内田篤人、長友佑都ら)のインタビュー集「突破論。」のほか中村俊輔選手や長友佑都選手の書籍の構成なども務める。


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